~当館から徒歩2分 龍泉寺むかし話~
いつも 旅館久保治のブログをお読み頂きありがとうございます。
洞川温泉の紅葉は終盤を迎えました。
燃える様な紅葉の赤が美しい龍泉寺は当館から徒歩2分ほど。
龍泉寺は役行者が大峯を開山し修行していた頃、山麓の洞川で岩場の中から水が湧き出る泉を発見。
その泉のほとりに八大龍王尊をお祀りし、行をしたのが始まりであると伝えられています。
この泉を「龍の口」と言い龍神様の住まわれる泉ということから、龍泉寺と名付けたそうです。
龍の口より湧き出る清水によって満たされた池は水行場としても名高く、修行者の身心を清める第一の行場として、大峯山に参る行者さん達でシーズンは賑わいますが、一般のお客様にも初夏は蛍の名所、秋は紅葉などと人気のお寺です。
さてそんな龍泉寺の「龍の口」には昔から伝わる伝説があるんですよ。
昔、龍泉寺にまじめな寺男がいました。
ある日男が家に帰ると女が立っていて「どうか、ひと晩泊めてください」と頼みました。
親切で人の良い男は承諾し女を一晩泊めてあげました。
すると次の日起きると女は既に家を掃除し、朝食の支度も。いつしか2人は夫婦になり可愛い男の子も誕生したそうです。
妻は夫に早く帰るときは「帰ったよ」と声をかけてくださいね、強く頼んでしましたが、ある日男は約束を破って、黙って家に入りました。
するとまっ白い大蛇が、赤ちゃんと添い寝しているではありませんか。
男が腰を抜かすと、白い蛇は妻に戻り
「私は龍泉寺の龍の口に棲む蛇です。でも見られたからには、もう夫婦ではいられません。龍泉寺の池に帰ります。子どもが泣けば、乳の代わりに私のこの目玉をなめさせてください」
と自分の目玉を繰り抜き、家を出て行きました。
子どもは、目玉をなめて育ちましたが、とうとうなめつくして泣くので、男は子どもを背負い、龍泉寺の池に行くと池の中から白い蛇が現れて、もうひとつの目玉を子どもに与えました。
「私は両目ともなくなって昼夜わからなくなりました。どうか、朝に六つ、暮れに七つ、お寺の鐘を鳴らしてください」そう言うと池の中に消えてしまいました。
白蛇の子への愛情に心打たれた男は、龍泉寺の鐘を毎日鳴らし続けたということです。
不思議な伝説な残る「龍の口」からは今日もこんこんと清水が湧き出ています。是非足を運んでみて下さいね